ここ最近で、一番、本当に聞いてよかったなと思う言葉は、
「棚が光る」という言葉です。
ある本屋に勤める友人が、教えてくれた言葉。
もともと本屋の醍醐味とは、「棚づくり」ということだとは知っていましたが、
本屋の仲間内で、とくに良くできている棚を、
「○○君の棚、光ってるね~」と褒め称えるそうな。
僕はこの、「棚が光る」という表現をとても気に入りました。
感性にダイレクトに働きかける表現だし、
そこには本棚というものへの郷愁と、知への憧れ、人間的な何かが宿っているような気がして、
Amazonが未だ到達しえぬ、リアルな本屋にしかない感覚だと思ったからです。
感覚的には非常によく分かるんだけど、、いくつかの疑問も湧いてきました。
- どうして棚が光る(と感じられる)のか?
- 光る棚と、光らない棚の差はなんなのか?
- はじめて見る本を、気に入って買う気にさせられるのはナゼか?
などと、このごろずっと考え込んでしまいました。
ただ同じジャンルの本を集めるだけではダメだし、
売れている本を集めれば成功ってものでもない。
その人の興味のアンテナに引っかかり、なお、まだ知らない世界へと興味を向けさせる、
たぶん、そういったことが実現できるのが、「光っている棚」なのだと思います。
例えば、テクニックのひとつとしては、お客の「まだ知らない」ことを、
お客の「すでに知っている」ことの情報パケットに小分けにすることがあると思います。
これがポップの果たす役割ですね。
加えて、僕はたくさんの要素が「光っている棚」にはあるのではないかと気づきました。
- 面積(冊数や平置きであるかどうか)
- 視線の流れ
- 視点の高さ
- 情報密度
- ポップの内容と色使い
- 文字の大小
きっとこれらの要素が微妙に絡み合って、「棚が光る」のだろうと。
非常に興味深いのは、人間がものごとをどのように認識しているか、
というテーゼが浮かび上がってくるということです。
脳科学であり、マーケティングであり、セールスであり、
ひいては、知の世界へ人々をいざなう良い比喩だと感心しました。
人間が感覚的に知っていることだけれども、まだ良く分かっていないこと。
「光る棚」という表現には、知的好奇心をかき立てる先人の智恵が凝縮しています。
関連本:
人間の意思決定のプロセスには、自覚できるものと、自覚していないものがあります。
究極のコピーライティング本です。これ以上のことは、単なる応用。
これ以上の広告本もありません。これ以外の広告本は、単なるファッションです。
人気沸騰のDarren Brown。英語が分からなくても最後までみるべし。
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