2.28.2009

友よ、今日もあなたの棚は光っているか

ここ最近で、一番、本当に聞いてよかったなと思う言葉は、
「棚が光る」という言葉です。

ある本屋に勤める友人が、教えてくれた言葉。

もともと本屋の醍醐味とは、「棚づくり」ということだとは知っていましたが、
本屋の仲間内で、とくに良くできている棚を、
「○○君の棚、光ってるね~」と褒め称えるそうな。

僕はこの、「棚が光る」という表現をとても気に入りました。
感性にダイレクトに働きかける表現だし、
そこには本棚というものへの郷愁と、知への憧れ、人間的な何かが宿っているような気がして、
Amazonが未だ到達しえぬ、リアルな本屋にしかない感覚だと思ったからです。


感覚的には非常によく分かるんだけど、、いくつかの疑問も湧いてきました。

  • どうして棚が光る(と感じられる)のか?
  • 光る棚と、光らない棚の差はなんなのか?
  • はじめて見る本を、気に入って買う気にさせられるのはナゼか?

などと、このごろずっと考え込んでしまいました。

ただ同じジャンルの本を集めるだけではダメだし、
売れている本を集めれば成功ってものでもない。
その人の興味のアンテナに引っかかり、なお、まだ知らない世界へと興味を向けさせる、
たぶん、そういったことが実現できるのが、「光っている棚」なのだと思います。

例えば、テクニックのひとつとしては、お客の「まだ知らない」ことを、
お客の「すでに知っている」ことの情報パケットに小分けにすることがあると思います。
これがポップの果たす役割ですね。


加えて、僕はたくさんの要素が「光っている棚」にはあるのではないかと気づきました。

  • 面積(冊数や平置きであるかどうか)
  • 視線の流れ
  • 視点の高さ
  • 情報密度
  • ポップの内容と色使い
  • 文字の大小

きっとこれらの要素が微妙に絡み合って、「棚が光る」のだろうと。

非常に興味深いのは、人間がものごとをどのように認識しているか
というテーゼが浮かび上がってくるということです。
脳科学であり、マーケティングであり、セールスであり、
ひいては、知の世界へ人々をいざなう良い比喩だと感心しました。


人間が感覚的に知っていることだけれども、まだ良く分かっていないこと。
光る棚」という表現には、知的好奇心をかき立てる先人の智恵が凝縮しています。




関連本:
人間の意思決定のプロセスには、自覚できるものと、自覚していないものがあります。

究極のコピーライティング本です。これ以上のことは、単なる応用。

これ以上の広告本もありません。これ以外の広告本は、単なるファッションです。





人気沸騰のDarren Brown。英語が分からなくても最後までみるべし。

No comments: