マスターがまだ修行中の身の頃のお話。
コーヒーをたてては、師匠に確認してもらっていました。
毎度、師匠は「苦いな」とか、「違う」とか、
そんな風に、なかなかOKをだしてくれません。
ただ、ある日、「これはよくできてる」とひと言。
修行中のマスターは、すぐさま味を確認しました。
・・・とりたてて、“普通”の味だったそうです。
師匠の言いつけをまもり、マスターは日々、
その“普通の味”が出せるようになるまで腕を磨きました。
「今ならわかるんです。“普通”に感じられる、っていうのは、スッと入ってくる味なんです。」
「苦すぎず、浅すぎず、ちょうど良い。それがわかるようになったのは、後のことです」
「なんの特徴もなく感じられることが、その人にとって“ベスト”なんです」
こういう下手したら見過ごしてしまいそうな職人の話、好きです。
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