その日の夜も、今夜と同じように、雨が降っていた。
バーテンダーが「なにが飲みたいですか?」と訊ねてきたので
「じゃあ、雨で」と言った。
その場にいた数人で、
“雨”でイメージしてどんな飲み物をつくるか、
という話題で盛り上がった。
僕自身はというと、
おしとやかだけど、どこか悲しいような、そんなイメージ。
例えば、細いグラスにすっきりとした香りの透明の炭酸で、
苦味と甘みが同居していて、そしてアルコールが強めな、
そんな飲み物のイメージ。
けれど、隣の人や、バーテンダーのイメージは全く違っていた。
すごくメルヘンだったり、さわやかだったり。。
おなじ空から降る雨に、ひとはそれぞれの想いをかさねるようだ。
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