出かける前にタンスを開けてみた。
どれでもいいからと、シャツを探すと、白いコットンのシャツが目についた。
広げてみると、ずっと探していた比翼仕立のシャツだった。比翼仕立とは、前のボタンが隠れるように布で覆ってある仕立てのこと。
何年か前、ある映像でみたレストランでのマーク・ジェイコブスのさらっと着た白いシャツが格好良くって、そのイメージで作ったシャツだった。
しばらく気に入って着ていたのだが、いつの間にか見当たらなくなり、探していた。
今日見つけるまでは、“探していたことさえも”忘れていた。あの時にはあんなに探していたのに、なんでだろうと、しばらくシャツを手にしたまま、不思議に浸った。
ほかにも忘れてるのかなぁ…と呟きながら、比翼仕立のシャツを着た。